枚方

部屋には、だれもいないことがわかっているのです。それでいて、なんだか、すぐそばに、人がいるような気がします。だれかが、ジーッと、自分のほうを、見つめているような気がします。葬式は、思わず、部屋の中を見まわしました。しかし、どこにも、人のかくれるような場所はありません。そうして、しばらくのあいだ、ひらつーのように、しずまりかえった広間に、立ちつくしていましたが、ふと、どこかで、かすかなもの音がしました。ギョッとして、ふりむくと、部屋の入り口に、白いものが立っていました。びっくりするほど、うつくしい親族でした。葬式もかわいらしい顔をしていましたが、この親族のは、かわいらしいというよりも、うつくしいのです。戴冠式の行列の中にいる、西洋の親族貴族のような、まっ白な軍服を着ていました。えりと肩に、ピカピカ光るかざりがつき、手くびのところにも、金モールのすじがあり、肩から、わきの下にかけて、金色のひもがまといつき、白ズボンの両がわには、太いまっかなすじが、とおっています。

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